不思議少年はかく語る



「ふんふん。これで一通りは試せましたね。あとは何かあったか――ん、ああ、大丈夫ですか」


書くのに熱中していたように見えたが、好美と目が合うなり、右手に持っていたペンをしまい、その手を差し出してきた。


紳士的に出された手を拒否するわけもいかず、好美は手を取り立たせてもらった。


ただ、未だ膝はがくがくできちんと立っていられず、少年の体に支えられた。


「ね、ねえ、今のさ……っ」


「口裂け女ですね」


「ですねって……」


まるで猫でも見たかのような、さして動じない態度には、こちらの恐怖が霞になるほどだった。


「あ、あれは、私を、襲って……!」


「口裂け女見て、逃げるだなんて自殺行為ですよ。あれは本気になれば、100mを3秒で走れるらしいですから」