眼球が忙しなく動くくせして、好美の目は女に重点を置いてしまった。
マスクが、外れる。
予測していたことにして、予想以上だった。
裂けた口は耳まで。
何かを食らったのか、はたまた女自身の血なのか、口からは涎のように紅い液体が垂れ流しになっていた。
口を閉じられないらしく、般若のように開いたままの口は壊死し欠けた歯を丸見えにする。
ザクロの中身みたいだった。ぱっくりと熟れて割れたザクロのように。
「――」
声にならない悲鳴をあげて、好美は走った。
スプラッター映画に主演でもしているみたいだ。悲鳴があげれない恐怖を好美は体感していた。
――やだっ、やだやだやだっ!


