好美にしてみても、これで相手が男であったならば声をかけられた時点で逃げたであろう。
相手は女だ。
力の差は分からないが、最悪のことにはならないだろうと好美は驕り、また現実的に見ていたのだ。
いつだって危険は、自分よりも力が強いものが持ってくる。
それなりに成長した今、好美に対しての“脅威”は減った。
警戒はあっても、逃げるまではいかない相手と、好美は女をそう見たのだ。
――怖い。
怖いというよりは薄気味悪い。
それでも気にせず、女はその場から動かず。
「ねえ」
と、消え入りそうに言っていた。
――頭おかしいのか。
会話が成立しない相手にはそう思う。思うだけなら失礼ではないだろう。


