おたおたしてたらまたバカにされると伸樹は机を蹴った。
倒れはしなかったもの、大きく斜めになる。
「……」
――やっぱり、なんもねえじゃねえか。
薄気味悪さはまだあるが、事が済めばだいぶ楽に思えた。
――くっだらねえ。
唾でも吐きそうな不機嫌丸出しで自分の席に戻る前。
――、ぎぃ。
擦れた音が聞こえた。
「っ――」
机が動いた音に違いない。机なんか教室には山ほどある、ただ聞こえた場所がいけない。
真後ろ、たった今、自分が蹴った――“誰もいない席”からした音に伸樹は慌てて見たが。
やはり誰もいない。
なんだ気のせいかと、伸樹は席に戻る。
背中に来る視線は授業が始まるまで消えなかった。


