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伸樹(のぶき)にとって、それは異常にも見えた。
「俺の友達の友達がさ、口裂け女見たらしいぜ!」
「あ、俺の先輩の友達も言ってたな。マジでポマード言うと逃げるらしいぞ!」
クラスで語られる都市伝説。
それは一時のブームにしても、熱が引かない今となって毎日繰り返される話題には飽き飽きしたし、お前らもっと別の話題出せよ、とも思えてくるのだ。
普段なら伸樹も「またか」と思えたが、今日はなぜか虫の居所が悪く、自分の机近くにたむろう男友達に声を出してしまった。
「いい加減やめろって。口裂け女だの、メリーさんだの、んなのいねえよっ」
「はあ?いるって」
「友達の友達やら先輩の友達やらの又聞き信じんなって、くだんねえ」


