家まで帰るには道に迷うんじゃないかと渉まで起きて、例の学ランスタイルになり、好美を送ってくれるそうだ。
その好意に甘え、今、好美と渉は来たとき同様に一緒にいた。
――いない。
階段を下る際、昨夜いた黒い母親はいなかった。
どこにもいなく、どこかに行ったのは明白だ。
渉に昨日の黒いのはなんだと聞きたい気もしたが、怖い回答をされるのではないかと好美は聞かなかった。
やぶ蛇と言うか、都市伝説を聞いてしまえば“恐怖がまとわりつく”と身を持って体験した以上、もう二度と好美は怖い話を聞かないと決めたのだ。
「渉くんは学校に行かないの」
昨日と違い、今は明るく、時間を共にしたからか心に余裕ができて渉と親しみが持てるように好美は聞いた。


