だから、家に帰るのが億劫だった。
雨が降ったならすぐに帰る。家にいても雨音が癒してくれるから。
ただ雨も降らない日は、こうして河川敷で時を過ごす。
好美は独りだった。
どこまでも孤独だった。
自分の声を忘れそうになるほど、誰かと喋った記憶がないのだ。
「……」
膝を抱えて、顔をうつむかせる。
辺りはもう暗かった。
もっとこの悲しさを水の音で癒したいが、さすがに帰る時間であると好美は立ち上がり、スカートについた土を払った。
泣いたわけではないが、目を擦り、帰路につく。
冬になる前の時期は寒く、手を揉みほぐした。
摩擦による熱はあまり強くないものの、こうしてしまうのは人間の性分である。


