あ、来た‼


サッとハチ公の後ろに回り込んだが、


「お待たせ」


彼が運転席から手を振る。


やっぱりいい感じかも。


少し熱くなった胸と共に車に向かう。


携帯不所持の居酒屋店長。


あれから足繁く店に通い、アナログ談義で意気投合したのだ。


そして今日が初デート。


一回目だ。


101回目じゃない。


正真正銘の一回目。


まだまだ先が長い付き合いがしたいが、最初が肝心でもある。


もちろん楽しむのは大事。


でも。


でもやっぱり好印象を植え付けたいと、


最高に着飾るも、頑張ってると気づかれない装いと、


さり気ない笑顔で、


彼の車に乗り込んだ。


途端に…。