「じゃ、行ってくる」 軽く言った。 さも、 マサの散歩に行くように。 10分やそこらでは帰ってこれない。 何年先になるかは分からない。 テレビ出演がきっかけだ。 いや、 それを言うなら、 こいつが背中を押してくれたのか。 「マサ、頼んだぞ」 頭をくしゃくしゃに撫でる。 「俺、苦手なんだよ、しんみりしたの」 見送りに来てくれた、 みんなの顔を見回し、 また、 じゃ、 と、軽く手を上げ、 背中を向けた。