「ちょっとお待ちください。今、何とおっしゃりましたか?」


雅也サンが、いきなり言った。


「は? 身の回りには気を付けなさい。と。だから何だって言うんですか?」


「申し遅れました。弁護士の小高と申します。ただいまの発言、脅迫罪で訴えても宜しいでしょうか。」


「えっ…。」


どんどん、矢島先生の活気が無くなっていくのが分かる。


てか、雅也サンって弁護士だったんだ…。



「こちらとしては、大事にはせずに、示談といった形で収めようと考えておりますが、どうなさいますか?」


「…示談でお願いします。」


もう、何かよく分かんなくなってきたから、全部雅也サンに任せよう。



「では、こちらが示談書になります。内容に不服が無ければ、署名・捺印をお願いします。」


雅也サンは、いつ準備したのか分からない示談書とかいう紙を、テーブルに置いた。



示談事項


1、矢島氏は今後一切、プライベートな理由で高野氏および古河氏へ接触してはいけない。


2、矢島氏は仕事上必要な時以外は、古河氏との接触はしてはいけない。


3、上記を違反した場合は、改めて話し合いを設ける。


なお、今回の矢島氏の行為は職場には伝えない。    以上。




ざっくり言えば、矢島先生は私と祐チャンに仕事中以外は近づくなってことか。


祐チャンもサインしてるから、私もサインをした。




「ありがとうございます。もう帰っていただいて結構です。」


「…失礼します。」



矢島先生が、社長室から出ていった。