袖に戻ると、私らはお決まりのハイタッチをしながら、口の動きだけで互いの健闘を称えあう。 「オツカレ~!」 ステージでは、次の芸人がもうコントを始めているから、声は出せないのだ。 でもそれだけで、互いの気持ちは十分伝わった。 私らは、もう十年も一緒に漫才をやっているのだ。