『我々が行方不明事件の情報を調べている時、1つの電話がかかってきたのです』

 俺は興味津々で、テレビに近づいた。
 テレビは離れてみましょうとか言うけど、今はそんな場合じゃない。

『その電話をかけてきた人が、スタジオまでお越し下さいました。唐松さーん』

 アナウンサーが何処かに向かって呼び掛けると、スタジオの左側から若い男の人が出てきた。
 年は結構若そう――18くらいかな?
 この人がその唐松さんだろう。

『どうも、唐松直樹っす。18歳っす』

 唐松さんはわざわざ自己紹介をした。

『わざわざお越し下さりありがとうございました』

 アナウンサーが軽く会釈した。

『いえいえ』

 唐松さんも軽く頭を下げた。

『それで――唐松さんには、電話の真相を教えてもらいたく……』

『ああ、はい』

 アナウンサーが話し終わる前に、唐松さんは返事をした。
 アナウンサーは一瞬不服そうに顔をしかめたが、すぐに穏やかな顔に戻した。