『はい、お茶』

 京介がそう言ってコップをコルクのコースターに乗せた。

「さんきゅ」

 俺はそれを飲んだ。
 冷たい烏龍茶が、乾いた喉を潤した。

『ありがとう』

 千秋もそれを一口飲んだ。

『今日、悪かったな……欠席して』

 京介が言った。
 あまりにもいつもと違うので、こちらの調子も狂ってしまう。

「え? いや別に……」

 俺は半分程飲んだお茶をコースターに戻し、京介を見た。

『さっきまで、親戚の人が来てたんだ』

「そうか……」

 会話が弾まない。

 どうしたものか。

『母ちゃんさ……消えたんだよ』

 俺が話題を考えていたら、京介の方から話題を振ってきた。

 “消えた”…………?

 まあ行方不明なんだから、消えたと言うのかもしれない。

『辛いかもしれないけど、その事詳しく聞かせて』

 千秋が言った。

「おい千秋……!!」

 こういう時はあまり根掘り葉掘り聞かない方がいいって何かで言ってた。

『全部吐き出した方がいいって言うでしょ』

 そう言われればそんな事も何かで言ってた気が……って結局どっちなんだよ。