七月上旬
そろそろ、ほとんどの学校が夏休みに入っただろうころ
少女と少年の学校も当たり前のように夏休みになっていた。

今日の天気は晴だが、それほど暑くはない
どちらかといえば、風が吹くと少し肌寒いくらいだ。

そんな中、少女―――…紫杏のクラスの窓から
剣道場を見下ろす一人の少年の影があった。

「やっぱり、カッコイイな…」

屋根があって、中は見えないものの
声だけはどのクラブよりも響いていた。
少年―――…瑠衣はそんな声を聞き微笑み一度ゆっくりと空を見上げる。
無造作に散らばった雲が流れていた。
そして剣道場から聞こえてくる声に耳を傾け、ゆっくりと目を閉じる。

その瞬間

ひゅぅと、少し強い風が吹いた。
カーテンがそれにあわせて踊る


「あれ?
君、どうしたの?」

風がやんだかと思うと不意に後ろから声が聞こえた。
瑠依は驚き後ろを振り返る。
瞳に映ったその姿に
瑠依は目を見開いた

「な、何で・・・」
「や、久しぶり。
えーっと。瑠依だったっけ?」

会った時とは変わらない無垢な笑顔
そんな彼女につられ瑠依も笑顔になる。