一人、教室に残された瑠依は カタリと小さく音を立てて立ち上がり 彼女が来る前と同じ様に窓へと近づき 開け放たれた窓から空を見上げる ふわりと猫っ毛の彼の髪が 夏風に包まれて揺れる 心地よいその風に抱かれ 瑠依は静かに瞳を閉じた 「明日から楽しみだ」 と、心の中で小さく呟いて こうして、少年と少女の一夏が始まった