Hamal -夜明け前のゆくえ-



2週間ぶりくらいだろうか。


久々のクロは相変わらずで、ソファーの背もたれに頭を乗せ、じっと見つめてくる。


「しぃ君はどこ行ったの?」

「……僕も知りたい」

「なぁんだ。聞かされてないのか。難儀、難儀。どうしよっかなぁ~」

「祠稀に用事なら、今日は会えないと思うよ」


きょとんとしたクロは僕の目を見ながら「ふぅん」と口角を上げた。


「パーカーちゃんは、ちょ~っとだけ変わったみたいだね。うんうん。立派、立派。でもちょーっと残念だなぁっ」

「残念?」

「きみの魅力は無知なところだったから」


八重歯を見せて笑ったクロに眉根を寄せる。


「いやだなぁ。そんな顔しないでよ。ちょっと残念なだけで、むしろ今後に期待、期待」

「期待……?」

「知り始めが1番おもしろいとクロは思うのです」


左右の足を交互に上げ下げしていたクロは突然動きを止め、隣に座る僕の顔を下から覗き込んでくる。


「ねえ、おもしろい?」


その問いになにも感じないわけじゃなかった。だけど抱いた疑心や不安よりも、歯痒さが勝ってしまった。



「闇夜の威光って知ってる?」


わずかに目を見張ったクロは流れるように破顔する。


「知りたいの?」

「……、うん」


じわり。罪悪感のようなものが胸にシミを作り、それをクロに見抜かれたくなくて目を逸らした。