上半身になにも纏っていない祠稀の体は、ぼろぼろに見えた。
部屋に入る前に目に映った祠稀の背中は、わけがわからないほど傷だらけだった。
僕が与えられたわけではないのに自分の傷と重ね、恐怖に足がすくんで、それでも微笑んだ祠稀に、涙が出た。
「……なん、で……っ」
発した言葉が意識的ではなかったにしても、疑問が掃いて捨てるほど湧いてくる。
どうして……。誰が。
どこの誰が祠稀に消えない跡を残したの。
そんなものを持っていながら、どうして笑えるの。
どうして見られたことにうろたえもせず、大差ないなんて言えるんだ。
僕が祠稀と同じだって、いつから気付いていたんだろう。
最初からわかってた? 僕が、自分と祠稀にはどこか似通った部分があるかもしれないって感じていたように、祠稀もそう思っていた?
誤解だ。勘違いだよ。
されていることは似てるかもしれない。だけど僕と祠稀に通ずるものはない。
僕は笑えない。大したことないなんて思えない。
体に浮かぶ痣も、額に残る傷も、隠したくてしょうがない。
「――ねえ、祠稀っ……」
教えてよ。
どうしてそんな風に強くいられるの。
当惑する僕から視線を外した祠稀はTシャツを着て、ソファーに放っていたライダースジャケットを羽織る。
そのままテーブルから拾い上げた煙草とジッポをポケットにしまい、表情もなく僕を見つめた。



