Hamal -夜明け前のゆくえ-



「死ぬぞ」


おぞましいことを口にしたはずの祠稀が、あまりに自然と微笑むから、思わずつられてしまった。


けれど僕のそれは引き攣っており、真面目な顔で言われるよりずっと恐怖を覚えた。


冗談が過ぎるなんて口が裂けても言えないほどだった。


「――……な、んで……」

「さあ? どういう経緯であれ、いずれそうなる可能性が高いってことじゃねえの。邪魔に思われない奴なんていねーんだから」

「……邪魔……」

「お前帰んだろ? じゃあな。おやすみー」


奔放な祠稀はソファーに寝転がって、ブランケットにくるまり目を瞑る。


僕は結局なにひとつ確かなものを得られないまま、「おやすみ……」と言って部屋を出た。



手繰り寄せられる糸が目の前にたくさんあるのに、どれも全て途中で切れてしまう感じがする。


探るのは勝手にしろと言っておいて、聞く相手は選べ?


死ぬ可能性が高いのは、探る奴を邪魔に思う人間がいるから?


それとも威光そのものが排除されるべき存在?


だから威光は消えた?



でも消えたということが死んだということなら、おかしくないか。