Hamal -夜明け前のゆくえ-



この『家』の屋上にはフェンスのない部分があって、誰かが落ちることもあるんじゃないかって。


そうやって繋がる部分を見い出した僕は、店員が会話を妨害し、店主が忠告したのは、人前で話してはいけないからじゃなく、祠稀が来るとわかっていたからなんじゃないかって思ったんだ。


考え過ぎかもしれない。思い違いかもしれない。


でも祠稀は、僕が屋上のへりに立ったとき、まるで体験したかのように『痛いじゃ済まねえぞ』って言った。


『ここではやめろ』とまで言った。


全てを繋げる僕は、おかしい?


“祠稀”と、消えたらしい“闇夜の威光”というなにかは繋がっているって思うのは、見当違い?



「――威光について探るのは勝手だけどよ、」

「……」

「聞く相手は選べ」


煙草をもみ消した祠稀は立ち上がり、がしがしと頭を掻いた。


……祠稀には聞いちゃいけないってこと?


聞く相手を選べるほどの知り合いが僕にはいないってこと、わかってるはずなのに。


「なんで……?」


近くまで歩み寄ってきた祠稀に問う。


祠稀はソファーからブランケットを取り上げ、射るような目付きで僕を見た。