どうやら鈴さんはコンビニに行った帰りに僕を見つけたらしい。
テーブルに買ってきたエクレアとコップに注いだ麦茶を出してくれて、手当てをするために向かい側に座ってくれた。
緊張は、初めて会ったときほどではなかった。
「……思ったんだけど、なんか熱くない?」
消毒と塗り薬だけでとどめてもらった僕は、鈴さんが二の腕を触ってきたことに驚く。
確かに少し体が熱い。でもそれは体調が悪いからじゃない。
かすかに痛みが走った二の腕も、体中にある打撲傷も、きっと腫れて熱を持っているんだろう。
「ちょっと待ってね。保冷剤あげるよ」
立ち上がってキッチンに向かう鈴さんにホッとした。
初めて会ったときも『どうしたの?』なんて訊いてこなかったから、大丈夫な気はしていたけれど。
……僕は一生、この体につけられる傷の原因を誰にも打ち明けられないのかもしれない。
初めのころは動かせなかった熱い体も、痛みを伴う体も、いつしか自然と動かせるようになったみたいに。
慣れていくのかもしれない。
受け流してしまうのかもしれない。
「はい。どーぞ」
顔を上げると、鈴さんが小さめの保冷剤を差し出していた。
お礼を言って凍ったそれを手にすると、なんだかとても重く感じ、パーカーのポケットに押し込んだ。
「あの……夜中にお邪魔してごめんなさい」
「いーよいーよ! あたし夜職だから、この時間が1番元気」



