Hamal -夜明け前のゆくえ-



「やっぱり顔色悪いわね」


翌日、起きたばかりの僕を見るなり母さんが言った。


やっぱり? ……って、なんだろう。


まるで僕は昨晩から体調がすぐれないという風なそれは、母さんの“設定”であり、僕が“肯定”しなければならないものであるとすぐに気付いたが、


「今日は休んだほうがいいんじゃない?」


寝起きだということと、昨晩なかなか寝付けず寝不足だということが相まって、母さんの意図を推し量ることができない。


「ほら、壱佳、眠そうよ? 昨日は部屋にこもってたし、勉強してたんでしょう?」

「……大丈夫だよ。休んだら、授業についていけなくなるし……」

「壱佳ならすぐ追いつくわよ。ね? そうでしょう、壱佳」


そんなに休んでほしいの? 理由は?


体の痣はほとんど残ってないし……。今日行けば久しぶりに、2週間連続で学校に通えたってことになるのに。


僕がどれだけの頻度で学校を休んでいるか、わかってないの?



「――ねえ壱佳。ほら、ここ座って」


手首を掴まれ、生ぬるい母さんの体温に口を真一文字に結び、畳へ腰を下ろす。


母さんは指先でそっと僕の前髪を押し上げ、額に手のひらを当ててきた。そんな母さんを見返すことはできなかった。


熱がないか確かめるふりをして、額の切り傷がどうなったかを確かめているんでしょう?