Hamal -夜明け前のゆくえ-



今は清掃時間だ。

水拭き用のぞうきんを洗ったはいいけど、汚水を洗面所まで捨てに行くのが面倒だったんだろう。


僕は立ち上がり「大丈夫」と言ったつもりが届かなかったらしく、歩き出すと「ごめんなー!?」と再び声をかけられ、首を横に振ってから手を上げると、彼は顔の前で両手を合わせてから窓の奥へ消えた。


……どうしようかな。


濡れたパーカーを脱ぎ、髪やワイシャツも若干湿っていることを確認する。


肌にはりつくワイシャツの腕の部分を嗅いでみると、少し臭う気がした。


この場合、どこに行けばいいんだろう。



濡れたまま教室に戻るのは気が引けたため、ひとまず保健室に向かった。


常駐していた保健医に事情を説明すると、タオルとドライヤーを貸してもらえた。


「おいおい。髪はいいけど、ワイシャツは脱いだらどうだ」


保健室内にある小さな洗面所で髪とワイシャツの肩や腕の部分を濡らしている僕に、保健医は苦笑しながら言う。


「帰るだけなんで……大丈夫です」

「部には入ってないのか。担任の先生には連絡しておいたから、乾いたら帰っていいからな」


頭にタオルを乗せて軽く会釈したあと、カーテンで仕切られたベッドのひとつへ向かった。