Hamal -夜明け前のゆくえ-



感情も痛みも涙も叫びも今となっては過去でしかないのに、なにかが胸の奥にこごっているようで、大きな穴がどこまでも深く開いているようでもあって。うまく言葉にできないものばかりに囚われる。


ただ分かるのは、自分の胸の奥に潜むものは黒くて、汚くて、恐ろしいということ。


その深淵の常闇に、たびたび魅入ってしまう自分がいっそう恐ろしいということ。



「自分の首はもう、絞めた」


半年以上前に、学校の指定ネクタイで。ワイシャツの長袖を使って。


絞めたさ。あの箱の中で、力の限り。


消えてしまいたいと水面下で願いながら、目一杯まで。


「涎を垂らして気を失っただけで終わったんだ」


目が覚めたとき、失望の裏で安堵していたように。貫けなかった望みは、本当の願いを気付かせるだけだった。


そんなのは嫌だった。仮初にも消えてしまいたいと願っていたのに、叶わなかったことにほっとするなんて。



臆病な自分。弱い自分。


限界を感じるたび死の底を覗き見るくせに、本望のひとつも言えない自分。


いっそ誰か殺してくれないかと思った。痛みを感じながら死ぬのは怖いなと嗤った。


一瞬で楽になれる方法なんて、きっとない。


一瞬だけ楽になれることはあるだろう。


だけどその瞬間すら見つけられない僕は、どうすればいい?