「痛いじゃ済まねえぞ」
びくりと体を震わせた僕は屋上のへりに立つ自身の足元に目をやり、驚愕から身をよじる。
「うっわ!」
足がもつれたせいで前のめりになり、そのまま転んでしまった。
フェンスのないそこから離れはしたけれど、速まる鼓動が気持ちまで乱す。
地面に手をついて心臓のあたりをぎゅうっと握る。
……今、僕、あそこから――。
「悪かったな、声かけて」
ごくりと唾を飲み、視線を上げる。怖々としていたその動作に反して、祠稀は動ずることなく僕を見下ろしていた。
「死ぬなら余所でやってもらいたいんで、思わず」
「ち、違う……」
「あっそう。アイツの自傷癖に感化されたあと丁度よくフェンスがねえ場所を見つけて運命だの共鳴だのが頭よぎっちゃったのかと思ったわ」
嫌な汗がこめかみから伝う。そんなんじゃないと言うべきはずの口は機能しない。
きっと、自らを傷付けるクロを知って『僕だけじゃない』って少なからず安堵したから。
滲んだ血の赤さに救いを見い出そうとさえしたのに、笑ったクロに僕の胸は真っ暗に染まったからだ。
「まあなんだっていいけど、ここはやめろ。聞いてんのかおい、こら」
喉が、からからに渇いていた。
「だから邪魔して悪かったって言ってんだろ」



