「失敗、失敗。へましちゃったなあ。今日はパーカーちゃんの生態調査をしようと思ってたのにー」
へらりと笑ったクロに、そして目当てが僕だったことにも戸惑う。
「……やっぱな。どうせ、最終的なプランは別にあんだろ」
「んー……ふふっ」
立ち上がったクロはくるりと回転し、
「一等おすすめの注目株が枝分かれするのを、クロは見たいのです」
と意味ありげに微笑む。それを推し量れない僕は惑い、
「餌飼いになりてえなら、自分が生き餌にならないように気をつけるこったな」
祠稀はふん、と小馬鹿にするように笑った。
クロは表情を崩すことなく出入口へ足を向ける。
「しぃ君は魅力的な餌だけど、ひと筋縄じゃいかないなー」
「よかったな。俺の売れない情報が増えて」
「えっへへ。じゃあしぃ君、またね! 紳士にほど遠いパーカーちゃんもーっ」
頭上で手を振ったクロは恐れることなく暗闇に身を投じ、僕は「嫌われたな」という祠稀の声でやっと口が動いた。
「き、嫌われたのかな」
「少なくとも心ん中では中指立てられてたかもな。まあ俺は目の前で立てた親指を下に向けられたことあるから気にすんな」
「……クロはその時も笑ってたの?」
「笑ってりゃどうにかなるとでも思ってんだろ」
「……」
「煙草買ってくる」



