Hamal -夜明け前のゆくえ-



「星がどうかしたのか?」

「ううん。ちょっと、似てるなあって」


たとえば夜空に瞬く群星に等級が付けられているように。


繋ぎ合わせた星々に名が付けられているように。


みんなと同じように輝くことはできなくて、目立たないからとひとくくりにされても。


僕は、誰かのたったひとりになってみたかった。


たぶんもう、なれた。

僕も、祠稀も、互いのたったひとりに。



夜空を仰ぐのをやめ、人混みに視線を移す。僕の光はすぐに見つけられる。


人混みを指差したって、「なに?」と言う彼には見つけられない人。


きっとこれから人にうんと恨まれて、危ない橋を渡ろうとしていて、眩しさやぬくもりを感じるのは僕だけかもしれないけど。


「あの光の名を、きみは知ってる?」


見つけてほしい。人じゃなくたって、物でも夢でもいいから。


きみだけの光を、この世界で。


そうしたら胸にとぼして、忘れずにいて。


何度つまずいたって、光があれば立ち上がれる。


夜明け前にとどまる僕はすぐ迷子になりがちだけど、この暗がりに慣れた瞳と心は、かすかなものでも前よりちょっと、光を探すのが上手になったんだ。


立ち止まっても天を仰いで、夜明けより遥か先を想えるようになったんだよ。


だからきみもどうか、星のように瞬くことをやめずにいてほしい。


深い苦しみを隠していても、どれだけ傷付いていても、僕や誰かが見つけられるように。



周りからすればどんなに淡くたって、瞬くことをやめない輝きは、1等星にも負けないだろう。



「僕はチカ。よかったらきみの名前も、教えて」





【END】