Hamal -夜明け前のゆくえ-



警告したあと暫くの猶予期間があって、改善が見受けられない場合は制裁を加えていたらしく、祠稀は何度か、ほぼ無理やり制裁しに行くメンバーに入れさせてもらったこと。


事細かとはいかなくても、断片的に過去を教えてくれる祠稀の声は、ひどく落ち着いていた。


威光は去年の秋に崩壊して、ヒカリさんも他のメンバーも、今はもう誰ひとりとしてこの街にいないんだと話してくれたときも。


それは自分のせいで、自分が弱かったせいなんだと言ったときも。


だから祠稀はヒカリさんの意思を継ぐのだと、教えてくれた。


抽象的で全貌は見えなかったけれど、祠稀が自分を責め続けていることは感じ取れた。


まだ全てを話せるほど心が安定していないのかもしれないし、僕に全てを話すにはもっと時間を有するのかもしれない。


だからこそ『どうして?』とは絶対に聞かなかった。


祠稀が話そうと思ってくれた、話せるせるだけの範囲を、黙って聞いていようと思った。



「嘘ばかりのこの街に、暗澹とする夜に、どんなことをしてでも光を差し込んでやる。居場所を求めてきた奴らに、なにがなんでも居場所を作ってやる。俺がヒカリにそうしてもらったように、今度は俺がお前にできたらいいんだけど」

「……」

「お前が、威光についてどのくらい知ってるのかって聞いてきたとき、俺8割って言ったろ」


ずっと一点を見つめていた祠稀が僕に視線を移したから、頷いた。