煙草に火を点けた祠稀は深くそれを吸い、吐き出した。
僕のほうは見ないまま、壁がぶち抜かれた使われていない隣の部屋を眺めている。
「威光がなにをしてたグループだと思ってんの?」
「祠稀が僕にしてくれたことと、同じこと」
「そうだな。それだけじゃねえけどな。俺がなんでこんな怪我したと思ってんの?」
「……僕みたいな子供を騙して、利用して、悪いことをしてる人か店を潰しに行ったから」
「そこまでわかってんのに、手伝わせてなんて言ったのか」
含み笑いした祠稀は嬉しそうじゃなかった。俯いたその表情は、悲しそうだった。
「遊びじゃねえんだ」
「……うん」
「相手を殴ることだってあんだぞ。それもほとんど大の男だぞ。お前にできんのかよ。俺みたいに怪我することだってあるし、相手に恨まれほうが多いし、半端な覚悟じゃ――…」
祠稀は見つめていた手のひらを額に押しあて、言葉を濁した。
僕に、手伝わせたくないんだね。
祠稀の強さの裏にはなにかとても、とても深くて暗いものがあって。そこに自分の弱さを、押し込めているんだろうね。
「……そういう話ならしてほしくないよ」
大方わかってる上で手伝わせてほしいって言ったんだよ。
「祠稀自身が、僕を必要としてるのか、してないかだけでいい」
それがなにより重要なんだ。それしかいらないのかもしれない。



