Hamal -夜明け前のゆくえ-



「俺がああ言ったことで、これからどうなるんだろうって、もっとひどくなるんじゃねえかって、怖くなったか?」

「……」


まだ小雨がぱらつく外の世界で、何百粒もの雨を受けてから、横に首を振った。


口早に「嘘ついても無駄だ」と切り返されてしまったが。


「……考えたら、怖いなって思ったよ」


今まで自分以外の人間が、やめてって言うようなことはなかったから。


義父も、母さんも、外へ漏れることにひどく敏感だから。


祠稀っていう第三者が現れたことで、僕はどうなるんだろうって、怖く、思う。



「だけど僕は、『やめて』って。それだけになるけど……言えるようになったから。これからも言えるって思った」


帰りたいと思える家が欲しいことに違いはないし、きっと祠稀とは全く方法が違うだろうけど、僕もやられっぱなしは嫌だから。


それに……本当はね。


『怖くなったか?』って訊いてきた祠稀のほうが、怖がっているように見えた。


義父と母さんに警告をした祠稀のほうが、『もっとひどくなるんじゃねえか』って不安を感じているように見えた。


僕の目に映ったはかなげな祠稀が、『あんなやり方でよかったのか』って深く迷っているように見えた。


だから首を振ったんだ。



「怖いけど、祠稀がいるから、平気」