Hamal -夜明け前のゆくえ-



わずかに落としていた視線を上げる。


祠稀は僕を見ていたけれど、表情は険しいもので。その瞳は数日前に見せた、軽蔑さえ感じられるものとよく似ていた。


……惨めな気分になる。


祠稀の、何者にも屈しない強さを目の当たりにすると。


自分が弱者で、敗者で、ルーザーなんだと思わされる。


実感しているからこそ、それを逃げ道にしている。


強い人には敵わない。弱いから仕方ない。そうやって仮初の安寧を手にしているんだ、僕は。


もうずっと、長いあいだ。臆病な僕はそれを見抜かれることすら、恥じている。


終わりがない。際限がない。


自分が自分で在ることを1番嫌がっているのは、僕なんだから。



「俺になにを期待してたんだ。それが外れたら会いに来るのも連絡するのもやめやがって。わかりやす過ぎるっつーか、勝手なんだよ、お前」

「そ、んなの……連絡してこなかったのは、祠稀だって、」

「そうじゃねえだろーが!」



……わかってる。

求める答えと違うってことは、わかってるよ。


同じじゃない。祠稀だって連絡してこなかったじゃないかって、そんなのは甘えだ。


僕が、祠稀と一緒にいたいって言った。だから会いに行っていた。


でもどうしたってわかり合えない部分を見つけて。祠稀の態度に傷付いて、祠稀の言葉が苦しくて。


また僕は逃げ出してしまったのに、


「不満があるなら言えって言ってんだよ俺はっ」


どうして祠稀はそんな風に、怒ってくれるの。