「そんな日が自分にもくるんだろうなって……自分で選ぶ瞬間が、いつかはくるのかと思ってた」
言葉通り、空想上のものだったけれど。
義父のおかげで今の生活があることはわかってる。
食事や洋服、生活費や学費だって、再婚してから母さんはずいぶん楽になっただろう。
本来なら僕だって、感謝しなくちゃいけないんだろうなって思う。
「意味がわからねえんだけど、要するに親のせいで自分はこんな風になっちまったって話か?」
「……わかんないけど。ただ……どうしても感謝はできそうにないなって、思うんだ」
「親父には殴られるし、母親は助けてくれないから?」
話してないのに、なんて驚いたのは一瞬だった。
出会いも出会いだったし、祠稀が本当に威光の生き残りなら、そうでなくても僕みたいな子は何人も見てきたのかもしれない。
立てた両膝を抱きしめ口をつぐむと、祠稀は溜め息をついてから隣に腰掛けてくる。
「まあ同じ屋根の下に住んでりゃ、親が子供になんの影響も与えないとは思わねえけど。所詮他人だろ」
ふんと鼻であしらった祠稀に思わず目を遣った。
祠稀もまた、僕を見つめていた。
「親っていう存在が、無条件で子供の自分を愛してくれると思ってんのか? なんの見返りも求めないで?」
「…………」
「そんなものは夢物語なんだよ」



