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「おい。練習すんぞ」
祠稀がパキポキと指の骨を鳴らす音が聞こえても、
「返事しろわ。つーかウジウジすんのもやめろ」
そうあっけらかんと言われても、僕はソファーに体育座りをして俯いていた。
「なんだっつーんだよ。雨みたいにじめじめしやがって」
耳の奥に残る、しとしと降る雨の音。
意識すると痛む、頬の打撲傷。
この傷がただの親子喧嘩でついたものなら、どんな気持ちだったろう。
拳を振るわれた理由が、ついカッとして手が出てしまったということだったら。僕は……母さんは、どんな言動をとったんだろう。
「……自分で選べると思ってた」
「は? なにを」
「僕がこんな風に、夜中に家を抜け出したりする理由。……自由欲しさの反抗期みたいなのがきて、親のありがたみなんてわからなくて、あんな家に帰るもんかって」
帰りたくもないって……プチ家出みたいなことをして、同じように親と喧嘩したことのある友達にかくまってもらって、夜通し愚痴をこぼしたり。
でもずっと家出してる余裕もないから、渋々帰ったりして。
まだピリピリしてる親を面倒くさいとか鬱陶しいとか思って、適当にごまかせばいいやなんて思ったりして。
その内なあなあになって、気付けば普通に会話してるけど、また説教されて腹が立てば、同じことを繰り返す。



