Hamal -夜明け前のゆくえ-



「なに。またセットしてくれるってこと?」

「えー……してあげてもいいよ?」

「ふうん。どこで?」

「えー。前とぉ、同じ場所?」


これは俗にいう、イチャイチャってやつだろうか。


はしゃぐ彼女は頬を染めている。髪を触られている祠稀は笑みをたたえ、彼女の片手を握っている。


僕はそろりとふたりの空間から抜け出し、近くにあった自販機へ向かった。


見た感じ高校2、3年生だと思うけど、付き合ってるわけじゃ……ないよね。



彼女が去るまで自販機の横で時間を潰し、ひとりになった祠稀の元へ戻る。


「友達?」

「体のほうのな」


祠稀にあげようと買っておいた炭酸飲料を落とした。


「うおい。炭酸落とすとか嫌がらせだ、ろ……」


ペットボトルを拾い上げた祠稀が僕を見て吹き出す。


「お前、マジかっ……顔まっ赤だぞ」

「な、だ、だって、急にそんなこと言われても……!」

「急もなにも、俺と鈴の関係なんだと思ってたんだよ」


えっ!? 鈴さんとも……、そういう、……。


「聞きたくなかった……」


祠稀はけらけら笑い、僕はあらぬ想像を振り払うのに一杯いっぱいだった。


「まあ、俺は17そこらだと思われてっからな」

「もうその話はいいよ……」

「ピュア子ちゃんかよ」

「そういう話は嫌いなんだよっ」

「俺の知ったこっちゃねえべや」


口を尖らせても祠稀はお構いなしで、口角を上げて僕を見遣った。