Hamal -夜明け前のゆくえ-





だんだんと気温が上がり梅雨が近づいても、パーカーのフードをかぶり続けている。


19時46分か。


壁に寄りかかりながら携帯で時刻を確認した僕の隣では、祠稀がなにかを眺めている。


歓楽街へ続くアーケード内に入ってすぐの場所にはゲームセンターやカラオケがあり、制服を着た学生が多い。


あと1、2時間ほどすればキャッチが増えてまた別の雰囲気になるのだが、今はまだ明るく平和に見えるほうだった。



あの子、キャバクラでバイトしてそう。


祠稀がなにかをしているのを待っているだけの僕は、ぼんやりと行き交う人々を眺めていた。


すると今まさにキャバ嬢っぽいと思った子がこちらを見た。そしてどうしてか、立ち止まる。


え……? 僕、声に出してないよね。なんで?


ひとり焦る僕は、隣で煙草を取り出した祠稀を肘でつつく。


「あ?」

「数メートル先にいる子。こっち見てる」


祠稀は彼女のいるほうを見遣る。と。


「シキだよね!?」


え、知り合い?


「うわーっ超久しぶりじゃない!? 元気ーっ?」


彼女は嬉しそうに笑みを浮かべ、小走りで近づいてきた。


「ぼちぼち。そっちも変わらずだな」

「変わりましたぁ~。3キロ痩せたんだからっ」

「元からほせーだろ。痩せる必要あんのか」

「だぁってすぐ太るんだも~ん。てか、変わんないのはシキじゃん! まだそんなダサい髪しちゃってさ~。もったいないっ」