Hamal -夜明け前のゆくえ-



……ぬくもりを感じるのは、すぐそこに寝転がる祠稀がいるからかな。頭に置かれたままの祠稀の手に、ひどく優しさを感じるからかな。


どちらであっても僕はやっぱり、泣きたくなった。


「なにこれ、たんこぶ?」


僕の後頭部をぽんぽんと叩いていた祠稀が言い、


「……ぶつけたんだよ」


答えれば鼻で笑われた。


「ダセェな」


そうだよ僕は、かっこ悪いんだ。かっこいいところなんてひとつもない。


これから気長に、探すところなんだよ。



「祠稀、おなか空いた」

「俺も。ダッシュで買ってこい」


ええ……中華飯店に食べに行けばいいいのに。


もしかして、僕のせいでクロにいろいろ探りを入れられたとか……ありえる。


「買ってくる。なにがいい?」


フードを被り直すと、祠稀は「牛丼」と即答した。


また? 肉が好きなんだなと思いながら飲み物は必要かも聞いておく。


「水でいい」


「わかった」と立ち上がった僕はビルを出て、ふたり分の夜食を買いに行く。



帰り道、いつかと同じように怪しげな男にキャッチをされたけれど、店名だけを聞いてついて行くことはしなかった。


そのことを祠稀に告げ、店名を教えると、祠稀は満足そうに笑ってくれた。