Hamal -夜明け前のゆくえ-



そんなこと僕に言われても困る。


だって一度は、祠稀にはもう会わないって決めたんだ。クロを筆頭に、危ないことには関わりたくないって思った。


怖いよ、今でも。


とってつけたような僕の覚悟なんて、恐怖を育てる栄養にしかならない。


この街で生きる術も、戦う術も持ってない。守られる理由ができる価値さえない僕のままだよ。


それでも僕は、


「祠稀と一緒にいたい」


出会ったその日から、僕の世界が変わり始めたように。


祠稀の存在がなければ、僕は今でもあの箱の中で怯えていた。


ここに来るまでずっと、会いたくて仕方がなかった。


目が合って微笑まれた瞬間、泣きたくなるほど慕う気持ちが膨れ上がった。


愛しい、とか。

そんな気持ちは僕にはよくわからないけど、離れがたいって思ったんだ。


祠稀と一緒にいたい。


どんな場所でも、どんな状況でも、祠稀と一緒にいたい。


ダメかな? なんて聞かない。お願いもしない。これが僕の、望みだから。



「……、」


不意に、被っていたフードをとられた。


ひらけた視界の手前で、祠稀が僕に瞳を据えている。


「安心しろ」

「……なにが?」

「クロに払う情報料。俺が立て替えといた」


謝罪も感謝もする間もなく、ぐしゃりと頭を撫でられる。そしてそのまま引き寄せられ、ソファーに顔をうずめることになった。