Hamal -夜明け前のゆくえ-



「ここが威光の本拠地だったからだよっ! きっとそう!」

「え……で、でもそれじゃあ、」

「パーカーちゃんはビルの外周を回ったことがある? 黒いシミを見たことがある? その場所は屋上で言うとどこに当たると思うっ? 不気味だよね、思い出しちゃうよねえ。昔はここも賑やかだったのに、今じゃこんなに静かだもの! そんな場所にしぃ君がひとり留まるのは、どうしてだと思うっ!?」

「どうして、って……」


クロが楽しげに笑っている理由がわからない。


わからないからこそ怖く思うし、感じる違和感が拭えない。


それでも僕は手繰り寄せても切れそうにない糸を前に、“知りたい”という欲を抑えられなかった。


「祠稀は……威光のメンバーだったの……?」


まるで正解と言うように、クロは満足そうに笑う。


「しぃ君は、ひとりぽっちの生き残り」

「……、」

「はあ……素敵。しぃ君も早く認めてくれればいいのに。他のメンバーがどこに行っちゃったのか、屋上から落ちたのは誰かってのはあたしも知りたいからさぁ」


生き残りって……じゃあ、祠稀はなんのためにここに留まっているんだろう。


消えたメンバーを待ってる、とか?


「もっと知りたいなら、中華飯店の店主に聞くのが妥当!ってとこかな。あとは? 他に知りたいことある?」

「……ううん……ない」

「そっかそっか! じゃあハイッ」


考えることに集中しかけた僕は、差し出されたクロの手のひらに目を丸くさせた。