酔ってるのかな。自分からキスしてくるなんて。


探るようにちらりと目を上げると、ヒロは頬を赤くしてぱっと顔を背ける。


顔は赤いが酔っ払ってはいなさそうだ。雰囲気で分かる。


「ここでクエスチョン。半径4cm、母線10cmの円錐の側面積は?」


は?


「5秒やる。4、3…」


「40πC㎡だろ?」


俺が答えると、ヒロは面白くなさそうに「ちっ」と舌打ちした。


だけどその横顔は相変わらず赤く染まっていて、


つまりはこいつなりの照れ隠しだったわけだ。





俺はそんなヒロも―――ラヴっ!





「答えられたご褒美を貰うぞ?♪」





もう作戦そっちのけ。俺はヒロに覆いかぶさった。





「ギャーーー!!」




バカなヒロ。俺に襲われる口実を作りやがって★


そこも可愛いんだけどな♪







π PI


それは円周率。


円の周の長さと直径の比として定義される数学定数である。しばしば π で表される。


π = 3.14159 26535……


円周率は、無理数であるのみならず、超越数でもある。




円周率には終わりがない。



二人が求め合えば、それは永遠――――




π



それは無限を目指し、自由へ向けて歩みつづける男たちの香り。






~ HAPPY END♪ ~