「花巻ー」 それを見た松島が、俺を呼んだ。 「黙れ」 「そんなに怒んなって」 「自分で持てよ」 松島の制服を顎で指すと、松島は苦笑いした。 そして、松島が制服を拾おうとした時――、 「あっ、碧くん!」 「なに?」 「意地悪しちゃダメでしょ!」 「してない」 ちょっと怒ったように言うかのんに、愛しさがこみ上げてきた。