…なにアホなこと言ってるんだ。

心のなかでツッコミをいれながら、ソフトクリームが売っているお店の前に立ち止まる。

純くんはメニューを眺めながら、「んー」と迷っているようだった。

「ふっ…冬なのに、ソフトクリーム?」

「冬だから食うんだよ」


…あー、なんかよく言うよね。

『冬だからこそ冷たいものを食べる』みたいなこと言うひと、いるよね。

わからなくもないけれど、お腹壊しそうで、こわいよ。


「色葉も食べる?」

紙に書かれた文字を見ていると、美味しそうなソフトクリームが頭に浮かんでくる。

バニラにいちご、巨峰とか、メロンとか…

ちら、と上を見上げて、フードを被った王子様と目が合う。

彼は私の目を見て、にっこりと笑った。

私はその表情に、む、と少し睨んだあと、メニューに目を映した。


「…私も、食べる」


もう一度見上げると、純くんは少し子供っぽい笑みで、私を見ていた。