それから、授業がはじまり、斜め前の大和を見た。

……全然こっち見ない。

そもそも、私の存在に気付いてるのかな?

それかあえて無視してるとか……。

いや、大和に限ってそれはないよね!

優しい大和だもん。大丈夫。


この授業終わったら訊けばいーんだし。


……それにしても、教室中の女子が大和のことを見ている。


これは………純くんに続く、王子様のご登場?


なんてことを考えていた、一限目の授業が終わり、待ちに待った休憩時間。

私は、やっとこさ大和に訊ける、と張り切って大和に声をかけ……ようとした。

けど、直前で固まる。


………声かけらんない………!!


震える私の視線の先には、大和を囲む男子たちがいた。

さっきの休憩時間は女子が群がっていたからか、この時間になって待ち構えていた私より早く、大和を囲んでしまった。

もちろんクラスのなかには、私と同じ中学で、大和のことを知っている人間もいる。

けど、「転校生」として来た大和に、みんな興味深々なんだろう。