潤んでる目を気づかれたくなくて、私は少し上を向く。

そして、二階の廊下を歩きながら、純くんにお父さんのことを話すのだった。


できるだけ、詳しく。


純くんに、私のこと、もっと知ってもらうために。






「この子供部屋でね、まだ小さかった優馬と、お父さんとよく遊んでたんだ」


久しぶりに、子供部屋のドアを開けた。

今、純くんと二階の部屋を回って、お父さんとの思い出を話してる。

私の一言一言に、純くんはしっかり返事をしてくれる。

………私のことばっかだけど、純くんつまんなくないのかな。


「…………私のことばっかで、楽しい?」


子供部屋のドアの前で訊いた。


すると、純くんは、「楽しいよ?」って。

子供部屋を見ながら返事をした。

ホントかなぁ?

でも、純くんは明るい顔してるし、話し続けていーよね。


後であやまっとこ…………


私達は、子供部屋から離れて、廊下を歩きはじめる。