一年前。



あたしが部屋を出るとき、那李のお父さんはあたしに優しい笑顔を向けてくれた。


『君のわがままは、大丈夫。叶えてあげよう。お父さんによろしくね』



ぺこっと一礼して、急いで部屋を出た。



那李には一度も会わなかった。




あの時お願いした、

あたしの、わがままは…