「あともうちょっと。」

30分に一回は同じ会話が繰り返されている。

未空はハァとため息をついてからできた料理をテーブルに並べていた。

「ご飯できたよ。」

「先食べてて。」

「仕事人間!」

少し怒りのこもった声音で聞こえたけど、いつものことだと思い俺は対して気にしていなかった。

無視を決め込んでいると もう知らない! という声が聞こえて俺は振り向く。


「未空、悪いとは思ってるけど...来年の8月20日までにタイムマシーンを完成させなきゃいけないんだ。」

「それはわかってるよ。」

「なら、「だからって、ごはんの時までずっと仕事してる必要はないでしょ?仕事が大事なのもわかるけど、私だって、ゴホ、ゲホッ、」

突然咽た未空に俺は慌てて駆け寄った。

「ごめん、未空。」

「なんで心晴が謝るの?」

「あの時、俺がしっかりしてれば未空は「私、後悔はしてないよ。」

にっこり、安心させるような笑みを向けてくれる彼女に胸が苦しくなった。

彼女の為にも、過去の為にも、俺は早く完成させなければならない。


「薬、効いてないだろ?」

表情を歪めて、問えば彼女は首をかしげて困ったように笑った。

「原因不明、だもんな。」

あとどれくらい持つかはわからないが、刻々と病は進行している。

「俺が、絶対に過去を変えてみせるから。

そうすれば未空は助かるから、」

まるで自分に言い聞かせるように言う俺を見て、未空は俺の頭に手をのばして

まるで小さい子供をなだめるように撫でた。


「それよりも、私は今を大事にしてほしいな。」


じわり、

胸の奥が切なくなった。