未空は俺の隣に座ると、こっちをじっと見てきた。

「...何もないよ。」

「うーん、でも、心晴君の顔は何かあるって顔してますよ?」

私で良かったら相談にのりますけど!と未空は言う。

今日会ったばかりの俺に優しくしてくれる未空を見て、

心が温かくなるのを感じた。


「あのさ、敬語とか要らないよ。堅苦しいの好きじゃないし。」

「え、いいの?」

「うん。」


俺がそういえば、未空はあっさりと敬語をやめて私もあまり好きじゃないんだよね、と笑った。

「未空は、急に地球の為に命賭けろって言われたらどうする?」

「え?」

変な質問だと思ったんだろう。

未空は一瞬目を見開くと、うーん、と考える。

「質問の意味が良くわからないんだけど、」

困ったような表情で、未空は俺にそう言った。

まあ、普通そうだよな。

「ごめん、今の忘れて。」

俺はこれ以上未空を困らせないように、笑顔を張り付けて告げる。

けれど彼女はパッ、と表情を明るくさせて俺を見た。


「私、地球の為に命を賭けるんだったらきっと嫌だって言うと思う!」


「そ、そうか。」

「けど、大切な人の為だったら命を賭けてもいい。」

未空はそう言ってから、綺麗に微笑んだ。

「未空は、強いな。」

「そんな事ないよ!」

「ううん、俺なんかよりすっげー強い。」

地球のためじゃなく、大切な人のため、か。


「心晴君、」

未空は、急に俺の両手を掴んだ。

「え?」