「タイムマシーンに乗って、小惑星に突っ込む。」

堂々と言った慧を見て俺は呆れた。

もうなんか、駄目だコイツ。

「あーもういいよ。なんか疲れた。」

「信じてないだろ。」

「信じる方が可笑しいだろ。」

慧から距離を置き、俺は少し速足で歩いて行く。

「心晴、話は最後まで聞けって。」

「聞いたって無駄だろ。」

「無駄じゃない。いいか?タイムマシーンで時空を超える瞬間を狙って、

小惑星に突っ込む。そうすれば小惑星ごとタイムスリップできるだろ?

この世界は救われて、一件落着。」


精神科を本気で進めようと思った。

けど、慧は真剣な目をしている。

コイツ、重症だ。

「タイムマシーンなんてあるのかよ。」

「あるよ。」

「仮に、まあ、100歩...いや、一万歩譲ってあったとしても、

タイムマシーンに乗って小惑星に突っ込んで小惑星ごとタイムスリップして、

そのあとどうすんだよ。俺達はどうなるんだ?」

「そこが問題なんだよな。」

慧は考え込む。


「おそらく、死ぬ。」


ぞくりと、体が震えた。

「けれど地球は救える。」