「未空ちゃんは?」

「もう寝たよ。」

「そっか。」

今日はいろいろあって疲れたもんな、と言う慧からも疲労は感じてとれる。

「心晴も早く寝ろよ。」

「うん。...あのさ、慧。」

「何?」

心晴は土管の上に座る彼を見上げた。

視線を感じて振り向けば、ぎゅっと拳を握りしめた心晴が立っている。


「俺の、俺たちの前から消えないよな?」


自分でもよくわからないが、不安だった。

慧が言った、 俺で終わらせる という言葉が気になって仕方ない。

「消えるわけないだろ。

未来で大事な人が待ってるんだから。」

「...。」

大事な人、と聞き誰なのか気になったが問わないで置くことにした。

慧は自分なのだ。自分の未来を聞くのはなんだか怖いし、きっと慧も教えてくれないだろう。


「そうだよな、良かった。」

「急にどうしたんだ?」

「なんか、慧が目の前から消えちゃいそうな気がして怖かったんだ。」

「ふーん。」

「人が心配してんのに、何だよその返事!」

「俺の心配は要らないよ。お前は自分の心配だけしてろって。」

「...慧、」

「ん?」

まだ何かあるのか、と言えば心晴は頷く。


「絶対、未来を変えよう。3人で、生きて帰ろう。」

月の光で、心晴の顔が照らされた。

あまりにも真剣な表情で言っている心晴を見て可笑しくなり

思わず吹き出す。