自分が口にしたものの無神経さに、しばらく怯えた目で奏を見つめることしかできなかった。
けれど奏は自分に刺さった槍を、痛いだろうに笑い飛ばしたのだ。
「あっはははは！」
突然腹を抱えて笑いだすものだから、とうとうおかしくなったのかともう一歩後ずさってしまう。
浮かんだ涙を拭ったせいで、アイラインだかマスカラだかが滲んで目尻に黒い線が浮かび上がった。
様々な反論と謝罪を考えていた俺の耳にささやくように入って来たのは、思いもかけない奏の声。
「…リーチにも、そう見える？」
「え、」
一瞬信じられなくて奏を見返すと、眉を下げて泣きそうに笑う奏がいた。
「アタシ、やっぱハブられてんのかなぁ」
え、え、え、待てよ。
そこは違うって、そんなのじゃないって軽く流す所だろう？
お前ならそうするんじゃないのか。
