だけどそれが正しいとすると、やはり子どもらしさは必要無いだろう?

「だけど君はまだ17年しか生きていないから、人生経験なんて下手に重ねようとすればボロが出ることは明らかだ。
だから、もっと子どもらしさを前面に押し出す必要があるんだよ」

「どういう、ことですか」


彼が言っている意味がまったくわからない。

そんなことをすれば曲の形が崩れてしまうんじゃないのか。

「全部僕が言ってしまうと君が成長しないだろう?引き止めて悪かったね。もう帰っていいよ」


…は?

呆気にとられている俺を置いて、彼は職員室の方向に歩いていった。

問題を出すだけ出して答えは言わずじまいなんて、問題の提供者として失格だ。


「どういうことなんだよ…」

ぼそっと呟いた言葉はもう見えなくなった彼の背中に届くことなく、消えていった。