俺だけ見てろ、なんてリーチは絶対言わない。
好きだとか愛してるだとか、そんな甘い言葉もほとんど使わないんだろうな。
だから、
「ね、ね、晴れて恋人同士なわけだし、キスとかしちゃう?」
「しねぇよ」
「じゃあもっとすごいことしちゃう?ほら、今日のアタシの服装ってなかなか刺激的だと思わない?」
じりじり詰め寄れば詰め寄るほど、リーチの眉間のしわは深くなる。
照れ隠しよね、それ。
知ってるんだから。
「早くアタシのバージン奪ってよね、リーチ」
「バージンって、お前…っ」
これでもアタシ、初体験はまだなのよ。
体は安売りしない主義なの。
チューニングが終わったら、すぐに合奏を始めましょ。
end.


